中屋敷左官工業

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特集:ザ・ウィンザーホテル洞爺「嵐山 吉兆」

北海道洞爺湖サミットで各国首脳の会食に使われた和室の施工

100%胸の張れる仕事をしよう

北海道洞爺湖サミットで各国首脳の会食に使われた和室。

短い工期で
高い精度を要求された、
約1000㎡のじゅらく壁

2008年の夏、私たちは忘れられない経験をしました。

「北海道洞爺湖サミット」という大舞台。その開催拠点となったホテルの各国首脳陣が会食する会場の「聚楽(じゅらく)壁」を、我が中屋敷左官工業で施工するという機会をいただいたのです。

短い工期の中、約1,000㎡の壁を完璧に仕上げなければならない、とても困難な仕事でした。当社では前例のない規模であり、プレッシャーもハンパじゃありません。

このとき私は、あるイメージを頭に描きました。お客様に「ありがとう」を言われている自分たちの姿。職人たちの達成感に満ちた顔。そして、この仕事が彼らの職人人生における勲章となることを。

胸を張れる仕事をする為、
下地のやり直し

私はこの仕事に先立ち、社内に「チーム・ウインザー」を立ち上げ、メンバーを集めてミーティングを開きました。目標は「完成時に100%後悔なく、胸を張れる仕事」をすること。

施工要領はもちろん、白い手袋、白い靴などの作業時の服装にいたるまで全員の意思統一を図り、いざ現場へ乗り込みました。スタッフは現場近くの旅館に泊り込み、私は毎日、職長と電話でやり取りしながら状況を把握。数日後。「大工工事が遅れて思うように作業できないが、下地工事は順調で、明日から仕上げに入る」という連絡をもらいました。

翌日、現場に入った私は、聚楽(じゅらく)を塗る前の下地を確認。
「ん ?まさか、このまま仕上げに入るわけじゃないよな…」。
目をつぶり、壁を手ごすりするとわずかではあるけれど、凹凸が感じられたのです。心を鬼にして「全部やり直し!」と職長に伝えました。

スタッフが家族の元を離れ、休みもなく働いているのは重々承知の上。でも、最初に決めた目標を達成するためには、仕事に妥協しない強い心をみんなに伝えなくてはいけません。
急遽、下地のやり直しがはじまりましたが、後日談によると、その日のチームの落ち込みようは尋常ではなかったそうです。

さらに仕上げに
妥協なく、
100%後悔しない仕事を

さて、下地修正も終わり、仕上げ工事が始まりました。私が現場に到着すると、一同自信たっぷりで「社長、見て下さいよ!」といわんばかり。うん、仕上げをかけた壁は確かにいい感じです。ところが、持参した懐中電灯を横から照らしてみると、正面からは分からない細かな凸凹がライトに浮かび上がっているではありませんか。

普通に見ればまったく問題ないレベル。細かな凹凸をなくすのは手間もかかるし、もしかするとこれ以上はムリかもしれない。材料費も当初の予算をオーバーするし、何より工期がない・・・。私はチームを集めて相談しました。すると職長が「社長、もう一度やりましょう!」と。リスクは大きいけれど、目標に向かってみんなが心をひとつにした瞬間でした。

遅れていた大工工事も終わり、いっせいに本格仕上げに入ります。時間がない中でのチームウインザーの集中力は、目を見張るものがありました。とくに今回のような難易度の高い仕事を完璧にこなすには、本当の意味でのチームワークが要求されます。

お互いの仕上げを遠慮なく指摘でき、一生懸命塗った壁でも悪いところはやり直す。そんな意識でひとりひとりが責任を負い、もてる限りの力を出し尽くしながら、塗った壁を全員で精査し、意図するものに仕上げていく。そうやって完成させた壁は、オーラを発していました。「壁」は心を表す」ということを、まさに私は体験したのです。

久しぶりにいい仕事を
見せてもらった、
ありがとう

無事に工事も終わり、竣工検査の日。私は残念ながら別の業務で現地に立ちあうことができなかったのですが、職長から涙で震える声でもらった電話は、おそらく生涯忘れることはないでしょう。

「施工元の本社の部長さんに『久しぶりにいい仕事を見せてもらった、ありがとう』といわれました」と。彼の心が私に伝わり、私の心をよろこびで満たしました。

その日の夜、会社に戻った職長を出迎えたときには、涙があふれ「ありがとう!お疲れさまでした」というのがやっと。苦労してよかった。こだわってよかった。がんばってよかった。

現場から直接帰宅したスタッフにもお礼の電話を入れると、みんなから聞こえてきたのは「こちらこそ、本当にありがとうございました」という言葉でした。

思いを込めた壁は
心を表す

このプロジェクトを通じて創り出された成果はたくさんありました。

この仕事を始める前に描いていた、私たちの仕事がお客様に喜ばれている姿、職人たちの仕事を終えたときの喜びや達成感はもちろんのことですが、今回特筆すべき成果として、仕事に妥協しない姿勢、周りが認めるかどうかではなく、自分たちが心から満足できる仕事かどうかにこだわること。その思いを込めた壁は心を表すという事を学びました。

そして、お客様に感動される仕事をするということは、それ以上に自分たちに感動をもたらすのだという事。お客様の喜びを追求していくと感動に達するのだという事をチームウインザー全員が体験することができたということが一番の成果だったと思います。


これからも当社は、

「お客様とともに感動できる
仕事をひとつでも多く
創っていく。」
と言う事に
こだわっていきます。